ジャズピアノの練習法としては、まず始めにコードとスケールを覚えることが重要です。ここでは少し理論的なことを書いてみますが、詳しくは、ジャズピアノおすすめの本で紹介する本をご覧ください。

1.レフトハンドヴォイシング

■コードネームをパッと読めて左手で押さえられるようになること。(レフトハンドヴォイシング)
クラシックピアノでかなり弾ける方でも、コードネームがわからないという方も多いと思います。まずは,ドレミ・・・とCDE・・・の対応から見て行きましょう。
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
C D E  F  G A B C
ちなみに、日本音名では,
ハ ニ ホ ヘ ト イ ロ ハ

クラシックでも,例えばファが主音の長調であれば,♭ひとつで「へ長調」(F Dur;エフドゥアー)というように,曲の調性(キー)は習ってきたと思います。しかしその調(キー)の中でどの位置にいるのか(何度にいるか)というのは,左手も楽譜のとおり演奏するためか,意識することは少ないと思います。
ジャズではメロディーとコード記号だけが書かれた譜面で他の楽器の人とも合わせて演奏していき,アドリブもするわけですから,メンバー共通の道しるべとなるのがコード進行なのです。
ドレミファソラシドのそれぞれに3度音程の音を重ねていくと,例えばド・ミ・ソ・シ(1,3,5,7)のようにコードが出来上がります。そして下の譜面には書かれていませんが,ジャズでの複雑で繊細な響きをもたらす「テンション」とは,このドミソシの上のオクターブに重なるレ・ファ・ラ(9,11,13)のことを言います。(詳しくは後で出てきます。)

キーが C の場合

 

キーが F の場合

 

この中で2度マイナー(Ⅱm)→5度セブンス(Ⅴ7)→1度(Ⅰ)という動きがコード進行の基本です。

ここから,いよいよレフトハンドヴォイシングです。キーが C の場合を見ていきましょう。

Dmでは、ファ・ラ・ド・ミと押さえます。響きを感じるために、まず左手でベースの音(ルートの音「R」)を弾いて、右手で和音を押さえてみるのがいいと思います。
コード進行の基本は、2度マイナー→5度セブンス→1度と解決する進行ですので、Dマイナー、Gセブン、Cメジャーというツー・ファイブ・ワンのコード進行で練習してみましょう。

テンションを含んだヴォイシング

どうですか?ジャジーな響きですよね。ちなみに、和音の横に書いている数字はルート音からの度数で、奇数で3度ずつ重ねていき、2オクターブ目から9th、11th、13th(テンションといいます)となります。言い換えると2nd、4th、6thであり、これで1オクターブ内のすべての音が埋まるのでコードとスケールが対応してくるわけです。

これを全部のキーで練習する必要がありますが、半音ずつ平行移動して音が高すぎたり、低すぎたりした場合は、Aタイプ、Bタイプを切り替えてみましょう。

ジャズピアノの初期は、ラグタイムやストライド(ブン・チャ・ブン・チャみたいな)の影響が残っていて、ルートの音もピアノが弾いていました。モダンジャズの時代への移行期(ビーバップと言われるスタイルの始まり)の代表的なピアニスト、バドパウエルの頃までは、ルート・3度、ルート・7度のようなヴォイシングが主流でしたが、ビルエヴァンスの頃から、ルートの音はベーシストに任せて、ピアニストはレフトハンドヴォイシングをしながら、少し高音部でフレーズを弾くスタイルになりました。

ここで,Aタイプの場合の左手で押さえるときの指と鍵盤の対応を見てみます。この押さえ方はうまく出来ていて,DmからG7への進行でも人差指のドがシに動くだけで,各構成音がスムーズに流れていく(ヴォイスリーデイング)ようになっています。

2.アヴェイラブルノートスケール(メジャーキー)

次に、各コードにあうスケール(音階)を覚えましょう。(アヴェイラブルノートスケール)

メジャーキーの場合

これは、普通にドレミファソラシドの始まりの音をずらしただけです。
普通に2度マイナー→5度セブンス→1度という進行なら、コードを意識しなくても、1度のドレミファソラシドを使えばよいということになります。
変化を出すため、5度セブンスのところを次に出てくるオルタードに変えることもできます。

 

3.アヴェイラブルノートスケール(マイナーキー)

マイナーキーのツーファイブでは、次のようにテンションが変化します。変化するという意味でオルタードテンションと呼ばれます。
マイナーキーの場合

 

左手は先ほどのメジャーコードと少し違って,2度マイナーは♭5,5度セブンスは♯9,♭13になっています。




 

4.アドリブフレーズ例(メジャーキー)

■アドリブフレーズを覚える。
覚えたフレーズだったらアドリブじゃないじゃないか!?と思われるかもしれませんが、語学を学ぶのと同じで、ある程度のボキャブラリーがないとアドリブは弾けません。
前のページまででアヴェイラブルノートスケールを説明しましたが、アドリブのときにスケールをそのまま弾くことはあまりありません。
アドリブを弾くには、スケールを理解した上で、次のようなフレーズを覚えていきます。好きなピアニストの真似をしたり自分で作ったりしたフレーズを自然に出てくるように練習しましょう。それがアドリブになります。
メジャーキーにおけるドリアン→ミクソリディアン系のアドリブフレーズ

 

ここで説明が遅くなりましたがとても大事なのがリズムです。
よく演奏されるのは、大きく分けて「フォービート」と「ボサノバ」があります。

フォービートはベースが4拍子のビートを刻むいかにもジャズってやつです。クラシックのように1拍3拍を強く弾くのではなく、2拍4拍にアクセントを付けます。いわゆる「アフタービート」ですね。またフォービートでは8分音符がタータ、タータと跳ねる(3連符の1拍目と3拍目で3拍目にアクセントを付けた感じ)ように弾きます。

跳ねすぎるとまたジャズっぽくなくなるので、好きなピアニストの演奏を良く聴いて真似するのが一番です。ピアニストによっても弾き方が違います。

次にボサノバですが、よく演奏される曲は「イパネマの娘」が有名です。いわゆる「ラテン系」リズムです。これはアフタービートではなく、1拍3拍でリズムに乗り、8分音符は跳ねません。

5.アドリブフレーズ例(マイナーキー)

マイナーキーのアドリブフレーズ例です。
マイナーキーにおけるロクリアン→オルタード系のフレーズ

 

6.「ブルース」と「枯葉」を覚えてセッションに参加しよう!

■ブルース(「Now’s The Time」や「Billie’s Bounce」など、12小節からなる決まったコード進行の曲。キーは、管楽器の人が演奏することが多い、F又はB♭のものがいいです。)や「枯葉」のコード進行のレフトハンドヴォイシングを覚える。
■レフトハンドヴォイシングでコードを押さえながら、右手で原曲のメロディーを弾いてみる。
■レフトハンドヴォイシングでコードを押さえながら、今度は右手でメロディーを崩したものやアヴェイラブルノートスケール、ブルーノートスケールを弾く。
ジャズの基本パターンの流れに着いていけるようになる。
■ジャズには、一音一音正しいというものはないので、格好よくは弾けないとしてもやってみる度胸が必要です。
「できる」からだんだん「格好よくできる」に進歩していけばいいんだというように考えて、まず自分なりのアドリブをしてみましょう。
■できる感覚を覚えてから、自分の好きなレコード、アレンジ譜面のカッコいいなという部分を真似して(コピーして)使えるようにしていく。

■とにかく多くのコピーをして、使えるアドリブフレーズを蓄えていく。そのアドリブフレーズをいろんなキー(調)で使えるようにしていく。

■少しでもできるようになったら、セッションに参加してみましょう!!