1.Bill Evans(ビル・エヴァンス)
(1929.8.16 – 1980.9.15)
アメリカのJAZZピアニスト。ニュージャージー州出身。ドビュッシー、ラベルなどのクラシックに影響を受けた印象主義的な和音や、スタンダード曲の創意に富んだアレンジ、従来のピアノトリオのあり方を一変させたインタープレイは、ハービー・ハンコック、チック・コリア、キース・ジャレットなど多くのJAZZピアニストたちに多大な影響を与えました。
- Portrait in Jazz(ポートレイト・イン・ジャズ)
- Waltz for Debby(ワルツ・フォー・デビー)
- Alone(アローン)
- Nights of Ballads & Blues(バラードとブルースの夜)
- Ballads(バラード)
- A Garland of Red(ア・ガーランド・オブ・レッド)
- Cookin’(クッキン)
- Soul Station(ソウル・ステーション)
- Smokin’ at the Half Note(ハーフノートのウェスモンゴメリーとウィントンケリー )
- At the Jazz Workshop(アット・ザ・シャズ・ワークショップ)
- Sonny Clark Trio(ソニー・クラーク・トリオ)
Portrait in Jazz(ポートレイト・イン・ジャズ)
Portrait in Jazz / 1959年12月28日録音 / Bill Evans(p),Scott Lafaro(b),Paul Motian(ds)
①COME RAIN OR COME SHINE,②AUTUMN LEAVES,③AUTUMN LEAVES(mono),④WITCHCRAFT,⑤WHEN I FALL IN LOVE,⑥PERI’S SCOPE,⑦WHAT IS THIS THING CALLED LOVE?,⑧SPRING IS HERE,⑨SOMEDAY MY PRINCE WILL COME,⑩BLUE IN GREEN(take3),⑪BLUE IN GREEN(take2)
ファンキーなジャズではなくて、芸術として理知的に追求していったのがビルエヴァンスです。
ビルエヴァンスのアルバムでは、スコットラファロ(b)が入ったリバーサイドレーベルの4作品が代表作として有名で、本作品はその一つです。このトリオでベースのスコットラファロは、それまでのピアノトリオのようにビートを刻むだけではなく、メロディのようなベースを弾いて掛合いのような演奏をしたのです。インタープレイという言葉でも表現されるように、三位一体のトリオへの変革だったわけです。ビルエヴァンスのピアノは、フレーズの組み立て方、ハーモニーの美しさ・・・、ジャズピアニストはみんな影響を受けてると思います。
このアルバムでは、有名な②「枯葉」の他、⑦「恋とは何でしょう?」もスリリングでいいです。
Waltz for Debby(ワルツ・フォー・デビー)
Waltz for Debby / 1961年6月25日録音 / Bill Evans(p),Scott Lafaro(b),Paul Motian(ds)
①MY FOOLISH HEART,②WALTZ FOR DEBBY(take2),③WALTZ FOR DEBBY(take1),④DETOUR AHEAD(take2),⑤DETOUR AHEAD(take1),⑥MY ROMANCE(take1),⑦MY ROMANCE(take2),⑧SOME OTHER TIME,⑨MILESTONES,⑩PORGY(I LOVES YOU,PORGY)
こちらは、上で紹介したリバーサイドの4部作の一つで、ビルエヴァンスといえばワルツフォーデビーというくらい超有名アルバムです。
ビレッジヴァンガードっていうジャズクラブでのライブ録音で、食事中の食器の音、会話なども聞えます。
この中では「マイ・ロマンス」が好きです。ピアノソロで始まりますが、ここでもハーモニーの美しさに惹かれますね~。
Alone(アローン)
Alone / 1968年9月23,24,30日 / 10月8,14,21日録音 / Bill Evans(p)
①HERE’S THAT RAINY DAY,②A TIME FOR LOVE,③MIDNIGHT MOOD,④ON A CLEAR DAY(YOU CAN SEE FOREVER),⑤NEVER LET ME GO,⑥ALL THE THINGS YOU ARE/MIDNIGHT MOOD,⑦A TIME FOR LOVE(alternate take)
トリオでも紹介したビルエヴァンスのソロです。ビルエヴァンスのピアノは繊細だとよく言われます。
ハーモニーの美しさからそう言われるのでしょうが、ビルエヴァンスのタッチは実はとても強く、ハーモニーの美しさにも分析力の強さが感じられます。技術的なことについて、身に付けたいと思ったものは徹底的に分析し、その本質を理解して、自分に必要なことを繰り返し練習して習得するのだとエヴァンスは語っていました。
僕はこのアルバムの中では②のタイムフォーラブが好きです。ヴォイシングはやはり絶品です。
2.McCoy Tyner(マッコイ・タイナー)
(1938.12.11 – )
アメリカのJAZZピアニスト。ペンシルベニア州フィラデルフィア出身。ジョン・コルトレーンのレギュラー・カルテットでの活動や、バンドリーダーとしての活動で有名です。ハードなモード演奏から豊かな響きの和音が印象に残るバラード演奏まで、以降のピアニストへの影響も大きい。
Nights of Ballads & Blues(バラードとブルースの夜)
バラードとブルースの夜 / 1963年3月4日録音 / McCoy Tyner(p),Steve Davis(b),Lex Humphries(ds)
①SATIN DOLL,②WE’LL BE TOGETHER AGAIN,③’ROUND MIDNIGHT,④FOR HEAVEN’S SAKE,⑤STAR EYES,⑥BLUE MONK,⑦GROOVE WALTS,⑧DAYS OF WINE AND ROSES
マッコイタイナーといえば、ジョンコルトレーンカルテットのピア二ストとして有名ですが、このアルバムはトリオでの名演として知られています。デュークエリントンの「サテンドール」から始まり、「ラウンドミッドナイト」「スターアイズ」など有名な曲を取り上げて、リラックスした雰囲気ですが、4度重ねのコードなどモード手法も聴かれ、やっぱりマッコイタイナーだなっていう演奏です。
Ballads(バラード)
バラード / 1961年12月21日、1962年9月18日、11月13日録音 / John Coltrane(ts),McCoy Tyner(p),Jimmy Garrison(b),Elvin Jones(ds)
①SAY IT,②YOU DON’T KNOW WHAT LOVE IS,③TOO YOUNG TO GO STEADY,④ALL OR NOTHING AT ALL,⑤I WISH I KNEW,⑥WHAT’S NEW,⑦IT’S EASY TO REMEMBER,⑧NANCY
ジョンコルトレーンカルテットでのマッコイタイナーです。ジョンコルトレーンといえば激しく吹きまくるテナーサックスで有名ですが、本作バラードでは、しっとりと聴かせます。「SAY IT」はテレビでBGMとしてもよく流れる有名な演奏です。
バラード集を作った経緯としては、当時前衛的な演奏で賛否両論があったコルトレーンが汚名返上をねらったとか、楽器の不具合で速い演奏ができなかったためという説もありますが、やっぱりどんな曲でもできる人はできるって感じです。
当時は酷評を受けたとも言われてますが、現在もベストセラーを続けています。
ピアニストにとっては、マッコイタイナーのピアノは聴き所です。アッパー・ストラクチャー・トライアド(あるコードの上に別の3和音を重ねるという奏法。C7にF♯の3和音(F♯,A♯,C♯)を重ねるなど)や4度重ねの和音など、とても参考になります。
マッコイタイナーの美しさがよく表れています。
3.Red Garland(レッド・ガーランド)
(1923.5.13 – 1984.4.23)
アメリカのJAZZピアニスト。テキサス州ダラス出身。元ボクサーという異色の経歴を持ち、1955年にマイルス・デイヴィスのバンドに入り活躍し、ブロック・コードを活かしたガーランド節とよばれるスタイルで人気を得ました。
A Garland of Red(ア・ガーランド・オブ・レッド)
A Garland of Red / 1956年8月17日録音 / Red Garland(p),Paul Chanbers(b),Art Taylor(ds)
①A FOGGY DAY,②MY ROMANCE,③WHAT IS THIS THING CALLED LOVE,④MAKIN’WHOOPEE,⑤SEPTEMBER IN THE RAIN,⑥LITTLE GIRL BLUE,⑦CONSTELLATION,⑧BLUE RED
レッドガーランドというピアニストは元ボクサーなんです。軽快なリズム感はそこからくるんでしょうか。コロコロと転がすような右手のフレーズと、煽るように刻む左手のリズムがレッドガーランドの特徴です。
どの曲を聞いても同じだという批評もあるんですが,僕は好きなんですよね~。確かに、ガーランド節と言われるように、コロコロ転がすシングルトーンとブロックコードという決まったパターンではあるけど・・・。
Cookin’(クッキン)
Cookin’ / 1956年10月26日録音 / Miles Davis(tp),John Coltrane(ts),Red Garland(p),Paul Chanbers(b)Philly Joe Jones(ds)
①MY FUNNY VALENTINE,②BLUES BY FIVE,③AIREGIN,④TUNE UP~WHEN LIGHTS ARE LOW
マイルスバンドのレッドガーランドです。マイルスデイビスといえば、電子楽器を使ったフュージョンをやっている印象が強いという方もいるかも知れません。僕はハードバップ時代の演奏が好きで、ing4部作(COOKIN’ WORKIN’ RELAXIN’ STEAMIN’)の中では本アルバムとRELAXIN’をよく聴いてました。
マイルスの指揮のもと、トリオでの演奏よりちょっと緊張感があるレッドガーランドもいいです。レッドガーランドのピアノは、このアルバムでは重要な存在です。
即興演奏でありながら,アンサンブルとしてカチッとまとまったジャズ「ハードバップ」のお手本といった感じです。
4.Wynton Kelly(ウィントン・ケリー)
(1931.12.2 – 1971.4.12)
アメリカのJAZZピアニスト。西インド諸島のジャマイカ出身。乗りの良さ抜群のピアニストとして有名。マイルス・デイヴィスの1959年の影響力のあるアルバム『カインド・オブ・ブルー』のトラック「フレディ・フリーローダー」にビルエヴァンスに替わって参加しています。
Soul Station(ソウル・ステーション)
Soul Station / 1960年2月7日録音 / Hank Mobley(ts),Wynton Kelly(p),Paul Chanbers(b),Art Blakey(ds)
①REMEMBER,②THIS I DIG OF YOU,③DIG DIS,④SPLIT FEELIN’S,⑤SOUL STATION,⑥IF I SHOULD LOSE YOU
テナーサックス、ハンクモブレーの傑作といわれるアルバムです。温かみのある音色、フレーズです。
ピアノは、ノリの良さピカイチのウィントンケリーで、ピアノの良さがこの作品の評価を支えているのかもしれません。
トリオの作品よりサックスやトランペットのバックで演奏している録音が多いのですが、ピアノの魅力もしっかり主張してます。
ウィントンケリーが入っているアルバムははずれがないといわれるくらいの名手なので、ジャズピアノを始めたいという人は、絶対聞いておくべきピアニストです。
Smokin’ at the Half Note(ハーフノートのウェスモンゴメリーとウィントンケリー )
Smokin’ at the Half Note / 1965年7月録音 / Wes Montgomery(g),Wynton Kelly(p),Paul Chanbers(b),Jimmy Cobb(ds)
①NO BLUES,②IF YOU COULD SEE ME NOW,③UNIT 7,④FOUR ON SIX,⑤WHAT’S NEW
これは、ギターのウェスモンゴメリーのアルバムで、これもウィントンケリーが入ってます。最初の「ノー・ブルース」、、、ノリノリです。まずは、モンゴメリー。一つのモチーフを繰り返しながら、盛り上げていきます。単純なフレーズでも盛り上がるんですよね。バックのケリーもそれに絡んでいきます。続いてケリーのソロ。ケリー節全開です。僕も弾きたいというフレーズがいっぱい出てきます。
5.Barry harris(バリー・ハリス)
(1929.12.15 – )
アメリカのジャズ・ピアニスト。ミシガン州デトロイト出身。マイルス・デイビス、リー・コニッツらと共演し、後にニューヨークへ進出しキャノンボール・アダレイ、コールマン・ホーキンス、デクスター・ゴードンらと共に活動しました。ブルーノート・レーベルではリー・モーガンの歴史的名盤といわれる”サイドワインダー”にも参加。バド・パウエルスタイルの典型的なバップ・ピアニストです。
At the Jazz Workshop(アット・ザ・シャズ・ワークショップ)
At the Jazz Workshop / 1960年5月15,16日録音 / Barry harris(p),Sam Jones(b),Louis Hayes(ds)
①IS YOU IS OR IS YOU AIN’T MY BABY(take2),②CURTAIN CALL,③STAR EYES,④MOOSE THE MOOCHE,⑤LOLITA,⑥MORNING COFFEE,⑦DON’T BLAME ME(take2),⑧WOODY’N YOU(take2),⑨IS YOU IS OR IS YOU AIN’T MY BABY(take1),⑩DON’T BLAME ME(take1),⑪WOODY’N YOU(take1)
バリーハリスは,モダンジャズピアノの開祖バドパウエルのスタイル継承者の中でも最もその影響を受けている人だとよく言われるんですが,私の印象ではそれほどパウエルそっくりというのではなく,もっと洗練されたスタイルだと思います。(アルバムにもよると思いますが。)パウエル本人より,パウエル派と呼ばれるこういう人たちの演奏から聴き始めた方がとっつきやすくていいんじゃないかと思います。派手さはないですが、渋いビーバップスタイルが聴きたい方にはオススメです。
6.Sonny Clark(ソニー・クラーク)
(1931.7.21 – 1963.1.13)
アメリカのJAZZピアニスト。ペンシルベニア州出身。1957年、ニューヨークに移りソニー・ロリンズと共演。同時期にブルーノートと契約し、何枚かのリーダー・アルバムを発表。ジャッキー・マクリーン(サックス)やポール・チェンバース(ベース)等が参加した『クール・ストラッティン』が代表作。
Sonny Clark Trio(ソニー・クラーク・トリオ)
Sonny Clark Trio / 1957年9月13日録音 / Sonny Clark(p),Paul Chambers(b),Philly Joe Jones(ds)
①BE-BOP ②I DIDN’T KNOW WHAT TIME IT WAS ③TWO BASS HIT ④TADD’S DELIGHT
⑤SOFTLY AS IN A MORNING SUNRISE ⑥I’LL REMEMBER APRIL
僕は、I Didn’t Know What Time it Was(時さえ忘れて)が好きで、ジャズを始めた頃よく聴いてました。バリーハリスと同じくパウエル派と呼ばれるピアニストの一人です。
アメリカでより日本での人気が高いといわれていますけど,実直なバップフレーズにマイナー調の曲での少し影のある感じが日本人好みなんでしょうか。粘っこく少し遅れ気味なジャズ特有のノリが特徴です。
サックスやトランペットが入った「クールストラッティン」というアルバムでは,もっとファンキーな演奏もしています。