17世紀頃、ヨーロッパで長調・短調の音楽が確立する前、教会音楽で用いられていた旋法(旋律を作る方法)を教会旋法と言います。
ここでは、学問的なことではなく、ジャズで使われるアヴェイラブルノートスケール(コードに合う、使えるスケール)との関係について説明します。
ジャズピアノ練習法も併せてご覧ください。
全・全・半・全・全・全・半という音程の並びがダイアトニックスケールであり、12のキーでのダイアトニックスケールを紹介しました。
これらは、各キーの主音(ルートの音)から始まる「ドレミファソラシド」でしたが、今度は、始まりの音をずらしたとき、例えば、「レミファソラシドレ」や「ミファソラシドレミ」を考えていきます。
1.イオニアン
まず始めに、ダイアトニックスケールの1番目の音から始まるモードですが、これは、イオニア旋法(イオニアンモード)と言います。
Cイオニアンスケール:キーCのⅠ度のコード、CΔ7のアヴェイラブルノートスケールとして使えます。
2.ドリアン
レミファソラシドレは、ドリア旋法(ドリアンモード)と言います。
全・半・全・全・全・半・全のスケールになります。
Dドリアンは、Cから始まるダイアトニックスケールの2番目の音から始まるモードです。
Dドリアンスケール:キーCのⅡ度マイナーのコード、Dm7のアヴェイラブルノートスケールとして使えます。
(参考)別のキーでも考えてみると、Cドリアンスケールは、B♭から始まるダイアトニックスケールの2番目の音から始まるモードになります。
Cドリアンスケール:キーB♭のⅡ度マイナーのコード、Cm7のアヴェイラブルノートスケールとして使えます。
3.フリジアン
ミファソラシドレミは、フリジア旋法(フリジアンモード)と言います。
半・全・全・全・半・全・全のスケールになります。
Eフリジアンは、Cから始まるダイアトニックスケールの3番目の音から始まるモードです。
Eフリジアンスケール:キーCのⅢ度マイナーのコード、Em7のアヴェイラブルノートスケールとして使えます。
(参考)別のキーでも考えてみると、Gフリジアンは、E♭から始まるダイアトニックスケールの3番目のモードになります。
Gフリジアンスケール:キーE♭のⅢ度マイナーのコード、Gm7のアヴェイラブルノートスケールとして使えます。
4.リディアン
ファソラシドレミファは、リディア旋法(リディアンモード)と言います。
全・全・全・半・全・全・半のスケールになります。
Fリディアンは、Cから始まるダイアトニックスケールの4番目の音から始まるモードです。
Fリディアンスケール:キーCのⅣ度メジャーのコード、FΔ7のアヴェイラブルノートスケールとして使えます。
(参考)別のキーでも考えてみると、B♭リディアンは、Fから始まるダイアトニックスケールの4番目のモードになります。
B♭リディアンスケール:キーFのⅣ度メジャーのコード、B♭Δ7のアヴェイラブルノートスケールとして使えます。
5.ミクソリディアン
ソラシドレミファソは、ミクソリディア旋法(ミクソリディアンモード)と言います。
全・全・半・全・全・半・全のスケールになります。
Gミクソリディアンは、Cから始まるダイアトニックスケールの5番目の音から始まるモードです。
Gミクソリディアンスケール:キーCのⅤ度セブンス(ドミナントセブンス)のコード、G7のアヴェイラブルノートスケールとして使えます。
(参考)別のキーでも考えてみると、E♭ミクソリディアンは、A♭から始まるダイアトニックスケールの5番目の音から始まるモードです。
E♭ミクソリディアンスケール:キーA♭のⅤ度セブンス(ドミナントセブンス)のコード、E♭7のアヴェイラブルノートスケールとして使えます。
6.エオリアン
ラシドレミファソラは、エオリア旋法(エオリアンモード)と言います。
全・半・全・全・半・全・全のスケールになります。
Aエオリアンは、Cから始まるダイアトニックスケールの6番目の音から始まるモードです。
Aエオリアンスケール:キーCのⅥ度マイナーのコード、Am7のアヴェイラブルノートスケールとして使えます。
7.ロクリアン
シドレミファソラシは、ロクリア旋法(ロクリアンモード)と言います。
半・全・全・半・全・全・全のスケールになります。
Bロクリアンは、Cから始まるダイアトニックスケールの7番目の音から始まるモードです。
Bロクリアンスケール:キーCのⅦ度マイナーのコード、Bm7♭5のアヴェイラブルノートスケールとして使えます。
8.まとめ
各コードで、各モードのスケールがアヴェイラブルノートスケールとして使えますが、結局はダイアトニックスケールに沿ったコード進行であれば、そのキーのダイアトニックスケールでアドリブできることになります。
(例)CΔ7→FΔ7→Em7→Am7→Dm7→G7→CΔ7は、Cダイアトニックの中での度数で言えば、
ⅠΔ7→ⅣΔ7→Ⅲm7→Ⅵm7→Ⅱm7→Ⅴ7→ⅠΔ7
つまり、Cイオニアン→Fリディアン→Eフリジアン→Aエオリアン→Dドリアン→Gミクソリディアン→Cイオニアンと演奏するなら、Cダイアトニックスケールだけで演奏できるので、コード一つ一つ意識しなくてもいいのです。
ほとんどの曲では転調があるので、どのダイアトニックスケールの中で進行しているかを意識することが必要です。